KEIJYU's Second Short Story

gooサイトに移行済み。http://blog.goo.ne.jp/keijyu0121

My Boy Vol.3 ―― Keiji.K

Vol.1 Vol.2 Vol.3 ***** 「つかさ、どした?」 ドアノブに手をかけたとき、反対を握っていた小さな手の力が強まった。文字通り、"ギュッ” と。 ――朝、芸能人の俺を迎えに来たのはマネージャー。見たこともない子どもが俺の隣に並んでいたら、そりゃびっくり…

Let Go Again

この人といつも二人で来ていたBar。いつも綺麗な夜景が、今夜は雨粒で滲みながら、よりキラキラと光っている。 いつも座るカウンターの端の席。いつものように彼は私の左側。年上の彼と過ごす大人の夜。 でも、ここに来たのは何か月ぶり。もう二人では会っ…

My boy Vol.2 ―― Keiji.K

Vol.1 Vol.2 Vol.3 ***** ――ちょこんとテーブルから顔だけが出ている。 家に初めてきた小さな客。 あれから、何とかつかさをトイレに連れて行き、シャワー、着替えを済ませ、今はこいつの汚れたパンツを洗濯中。 「飲むか?」 やっと泣き止んだこいつの前に…

My Boy Vol.1 ―― Keiji.K

Vol.1 Vol.2 Vol.3 **** 朝は弱い。昨日もレモンサワーを飲み過ぎたし、とどめのラーメンで胃ががっつりもたれてる。やっぱりもう若くはねぇなぁ。仕事が昼からでよかった。暫くベッドに潜ってよう。 ピンポーン 誰だよ、朝っぱらからうっせーな。一人で寝る…

The Ripper (※閲覧注意)

9月の夜雨はアスファルトから熱気を奪い、その独特な匂いと不快感をぼんやりと立ち昇らせる。 予想外に残業が長引いた。女は殆ど車の通らない暗い道を急いだ。 路地裏を曲がると、その少し先に男が一人、ガードレールに腰をかけていた。持て余すように前に投…

朽ちる身体 Vol.4 ―― Silk Jasmine(月橘)

Vol.1 Vol.2 Vol3 Vol.4 ***** 「もうおしまいにしよ?」 二週間ぶりに抱いた恋人は、ベッドの上で背を向け、下着を身に付けながらさらっと明るい声でそう言った。 「何、どうしたの? 俺が何かした?」 彼女の腰を取り、こちらに引き寄せようとするが、その…

朽ちる身体 Vol.3 ― Scabiosa(スカビオサ)

Vol.1 Vol.2 Vol.3 Vol.4 ***** 月白の光が、驚いた健一郎さんの顔を照らした。その光に照らされた髪は青というより碧く、美しいなぁなんてぼんやり考えていた。 「自分が何を言っているか、分かってる?」 一呼吸の間をおいて、彼が言葉をのせた。 私はただ…

朽ちる身体 Vol.2 -BLUE MOON(薔薇)

Vol.1 Vol.2 Vol.3 Vol.4 ***** 「大丈夫?」 目黒川沿いにある古いアパート。青い髪の彼が、ドアに背をもたれて仕事帰りの私を待っていた。 私のその問いに答える様子もなく、俯いたままの彼。その長い前髪が顔を隠し、表情が読み取れない。ただ、その下か…

あなたは悪い人だ

「もう、今日こそは物申す!」 とある事務所の経理部。何年かただ真面目に勤務してるだけだったのにもうすっかり周りから「お局」呼ばわりされている私。その方が仕事上やり易いところもあり、怒りも否定もせずそのまま呼ばれることにしている。 そして数分…

Summer Lover

籍だけを入れて式を挙げなかった私たちのために、仲間が開いてくれたサプライズパーティー。プライベートビーチを持つ小さなホテルを貸し切って、なんて豪華なことをいっても、みんなが揃えばただの飲み会になるわけで。夜通しの喧騒のあと、各々の部屋に戻…

BlueなSky

まだ柔らかさの残る青の空、ようやく暖かくなってきた芝生の上、さわさわとそよぐ心地よい風、無邪気に遊ぶ子どもたちの声、向こうの方でバーベキューを楽しむ大人たち。 「ヤバッ! ねえちゃんのおにぎり、うめっ!」 「もう、おおげさだよ。ただのおにぎり…

頭痛が痛い

おでこに冷たいものを感じて目が覚めた。身体が熱くて息が苦しい。ここはどこだ? ああ、マンションで寝ているのか…… 「ごめん、起こした? 冷た過ぎる?」 昔から聞き慣れた、女性にしては低めの声。冷却シートが苦手な俺のために、おでこにあてがわれたの…

朽ちる身体 Vol.1 ― SAKURA(桜)

Vol.1 Vol.2 Vol.3 Vol.4 ――私は、人を愛するという感覚がわからない。 いつも私とは別の人間が俯瞰で見ている感覚。いや、俯瞰で見ている方が私自身であり、動いてる人間はどこか違う。何かが違う。それは人というより動く物体。 だからと言って感情がない…